解釈と訳漏れ・誤訳の区別、英語と日本語の長さとの関係

英語と日本語は、根本的に違う言語です。そのことから、それぞれの言語のネイティブスピーカーの思考回路が根本的に異なる場合があります。ですので、日本語原稿と英語の翻訳文は、単語単位では1対1の関係にどうしてもなりません。文単位でも、異なる場合があります。

しかし、お客様から見れば、原稿にある日本語の単語に該当する英単語が、仕上がった翻訳に見当たらないと、心配になる場合があります。英語が不得意の場合は、どうやって「訳漏れ」(=その単語の意味が翻訳から抜けている場合)と「解釈」(=翻訳者が文書バランスや自然さのために直訳ではなく、原稿の意図を元に英訳をしている場合)の区別が出来るでしょうか。

一つの手掛かりは、翻訳全体の長さです。一般的には、日本語を英語に直す時、字数や語数は増えます。それがどこに現れるかというと、翻訳料金に見えます。わかる方は多いかと思いますが、翻訳を発注する場合は、お支払い金額は「原稿ベース」と「仕上がりベース」で換算することができます。「原稿ベース」は日本語原稿の字数の単価で換算します。例えば1500文字の原稿を一文字10円でしたら、1万5千円になります。一方、仕上がりベースは仕上がった原稿の英単語数で換算します(ちなみにワード数と言います)。例えば仕上がった原稿が750ワードで、1ワード20円でしたら、同じ1万5千円になります。この例ではちょうど同じ金額になっていますが、一般的には、仕上がりのワード数は、原稿に対して変動します。多かったり、少なかったりします。よって、仕上がるまで、お支払い金額は確定できず、ちょっとギャンブルの要素がありますね。実際は、自分の経験ですと、原稿ベース(字数ベース)の翻訳案件の金額が若干高い場合が多いと思いますが、その代わりに最初から決まっていて、お客様にとって予算が組みやすいです。ただしそれは自分が英訳する際になるべく効率のいい文書(不要に長くない文書)を狙うから、かもしれません。仕上がりベースになると、翻訳者によってはなるべくワード数を増やす方もいると思いますので注意しましょう。

続いて細かい話ですが、英単語の平均字数は5.1文字と言われています。そうしますと、上記の例の750ワードは3,825文字になります。ようするに日本語字数より倍以上になりましたが、ワード数に戻すとちょうど日本語の字数の半分です。これで単価をワードに変えることで仕上がり単価が計算しやすくなります。

この説明のポイントは、その字数の増加です。全角・半角文字の大きさの違いはさておき、字数でいうと、英語翻訳の文書は原稿に対して、倍以上の長さになります。

結論になりましたが、仕上がった英語翻訳は、倍まで行かなくても、字数において日本語原稿より長くないと、それが赤信号です。数か所にそれが合っても、それは意図的な解釈かもしれませんが、文章全体にそれがあると、可能性としては訳漏れが発生しています。

唯一それの例外は、文章のスペースが限られている場合。例えば、マイクロソフトのパワーポイントによるプレゼンテーション原稿や、同じくエクセルによる表など、日本語原稿に対してちょうどいいスペースが確保されていれば、英語を書くスペースが足りないということになります。よって、翻訳作業の一環として、どうしても「意図的な訳漏れ」をしなければならない場合があります。一般的にはそれをする前に、書体を小さくするなど工夫して無理やり入れますが、それでも間に合わない場合は各単語の優先順位を見て、省略します。それをされると困る、というお客様は、各画面上に必ず文字数を倍にするスペースを用意してくださいね。

以上の説明になりますが、まとめますと、基本的には翻訳者の方はプロのはずですので、お客様の英語力はネイティブ並みでなければ、まずは信じてあげましょう。それでも怪しいと思った時は、目立つ、自分でもわかる文法ミスなどがなければ、字数などを比較して、仕上がった英語が極端に短ければ、翻訳エージェントや翻訳者に連絡して確認してみましょう。